2014年11月、再生医療にかかわる法律が新たに定められました。これに伴い、きぼうの杜クリニックでは、患者様やご家族に対してさらなる安心を提供すべく、新法に対する取り組みを行っています。ここでは、再生医療の概要と歴史、法律制定までの流れ、当クリニックの取り組みについてご紹介します。
再生医療とは、細胞を加工し、体内に移植・移入し、傷ついた臓器や組織を回復させる医療です。そのため、自らの細胞で臓器や組織の回復ができ、これまで治療が困難だった疾患や障害も、対応できると考えられています。臓器移植と違い、自らの細胞から臓器や組織を作り出すため、再生医療はドナー(臓器提供者)が不足していても治療可能です。
幹細胞は再生医療の肝となる細胞で、二つの能力があります。まず、さまざまな細胞に分化できる「多分化能」を持っています。次に、自分の細胞を忠実にコピーできる「自己複製」の能力があることも特徴です。
通常、健康な人の体内では幹細胞が分裂して、臓器や組織が作られています。幹細胞にはいくつかの種類があり、血球細胞やリンパ球などのもとになる「造血幹細胞」、骨格筋を再生する「筋肉幹細胞」など、作る組織が異なります。
現在、再生医療は火傷をしたときの皮膚移植手術などに用いられています。また、近い将来、再生医療のしくみを利用し、心血管病のように高度な治療ができるのではないかと期待されています。
再生医療は、すでに数十年の歴史がある医療です。1980年代以降、再生医療はすでに臨床研究が始まっていました。皮膚を培養する移植手術は、アメリカでは1983年、日本でも1985年に行われ、実用段階に入ってから数十年経過しています。
21世紀になると再生医療の臨床研究が進み、2006年には厚生労働省が「ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針」を告示しました。また、2010年3月の医政局長通知「医療機関における自家細胞・組織を用いた再生・細胞医療」という通達が出されています。幹細胞についての指針を見てみましょう。
2013年5月、「再生医療を国民が迅速かつ安全に受けるための総合的な施策の推進に関する法律」が定められ、公布され、2014年11月25日に施行されました。この法律は、世界に先駆けた再生医療の研究開発および実用化、普及が目的です。
これにより、適正な再生医療を提供すべく、インフォームド・コンセントや個人情報保護の措置の徹底が求められることとなりました。定期的に厚生労働大臣が再生医療の実施状況を把握し、その概要について公表することも義務付けられています。
さらに、法律上、再生医療等技術の定義は、細胞加工物により「臓器や機能の修復、形成」または「疾病の治療、予防」を行う技術だと定められています。このうち、人の生命および健康に与えるリスクの度合いから、第一種から第三種に分類されます。
なお、今回の法律施行に伴い、管轄の地方厚生局に細胞培養加工施設の認可・認定・届出が義務付けられました。細胞培養加工施設の遵守事項は、「構造設備基準(第42条)」「製造管理・品質管理等の基準(第44条)」を満たさなければなりません。
当クリニックでは、第4のがん治療と呼ばれる免疫細胞療法を取り扱っています。そこで、第三種再生医療と免疫細胞療法の関係性について、もう少し詳しく見てみましょう。
まず、第三種再生医療等技術は、リスクが低い再生医療技術が対象です。人体に対する副作用等が見られない、または軽微であるというものが該当します。
免疫細胞療法は、重篤な副作用がこれまでに報告されていません。考えられる副作用としては、免疫を刺激したことで起こる発熱です。これは、発熱作用を持つ免疫細胞を投与した際、細胞から活発にサイトカイン類が放出されるからです。
また、副作用が起こる理由は、好転反応の原因だと言われています。免疫細胞が活発に活動するために発熱しているので、十分に免疫が機能している可能性があります。
当クリニックは、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」(再生医療新法)に対する取り組みをしています。今回の法制度で義務付けられた「細胞培養加工施設の届出」を、東北厚生局に申請し、2015年1月21日に受理されました。
当クリニックは、免疫細胞療法のなかでも、特許技術を用いた免疫細胞BAK療法を実施する医療機関です。現在治療を受けている患者様だけでなく、現在検討中の方が安心していただけるよう、免疫細胞治療を提供します。
免疫細胞療法は、新たな法律のうち、第三種再生医療に該当するため、重篤な副作用の心配なく、治療を受けることができます。新法に合わせた取り組みも随時行っていますので、免疫細胞療法を検討中の方は安心してご相談ください。
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